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褒める育児の勘違い
「えらい!」「すごい!」「天才!」
とにかく褒めて褒めて、自己肯定感を上げて挫折しない大人に育てよう。
褒める育児をしようと思う親はこんなことを考えているかなと思います。
担任の先生から
「褒める育児のおかげで自己肯定感は抜群に上がったけど、ちょっと失敗すると立ち直れない子が増えています。叱られる経験をしていないからだと思います。褒めることが大事だと流行り始めたのは1990年代。心理学者アドラーが叱らない育児を提唱したから。アドラーは確かに叱らないことを提唱したけど、褒めることは提唱していない。何故かここで褒めるが追加されてしまったんです。」
こんなお話がありました。
なるほど。
確かにアドラーは叱らないことを提唱したけど、褒めることは提唱していない。
むしろ、叱らない、褒めない、育児を提唱している。
じゃあ、何故褒めることが大切だと広まったのか?
これは別の心理学者から始まったのではないかと思います。
ペアレントトレーニング
米国で1960年代に開発されたペアレントトレーニングが日本で広まったのが1990年代。
ちょうど褒める育児が話題になったころと同じ時期です。
その後、日本では自閉症や知的障害にも利用できるよう改変され、現在は厚生労働省で下記3つのペアトレが推奨されています。
種類 | 内容 |
---|---|
精研・まめの木・奈良式 | 米国のUCLAで開発されたADHDのある子どもの保護者向けのプログラムを基礎としており、当初はADHDにともなう親子関係の悪化の改善と予防、子どもの適応行動を増やすことを目的としていた。現在ではASDの問題にも適用できるようにテーマと対応方法が工夫され、発達障害全般のプログラムに発展している。 |
肥前式 | 国立肥前療養所(現肥前精神医療センター)の行動療法の実践に基づいて、知的障害をともなうASDの子どもの保護者を共同治療者として育てるプログラムから出発し、現在はADHDに適用できるプログラムに発展している。 |
鳥取大学式 | 応用行動分析に基づいて知的障害をともなうASDのある子どものコミュニケーションスキルや適応的な行動の獲得を親が学習するプログラムの開発から始まり、現在は発達障害全般を対象とするプログラムに発展した。 |
私は鳥取式を2回、奈良式を1回受講しています。
奈良式の方が優しく、幅広く定型児にも活用しやすい印象です。
どちらも応用行動分析学の手法を用いるので、応用行動分析を理解した上で受講するとより理解が深まるのでお勧めです。
この、ペアトレが「褒める」ことを強く勧めており、ここから広まったのかなと感じています。
では、何故褒めることを勧めるのか?
褒める理由
人の脳はネガティブな情報を受け取ると思考が停止してしまう傾向にあります。
何度注意しても、きつく叱っても効果が出ないのはこの為です。
どんなに叱っても脳に届いていないので、叱る意味がない。
なので、まずは認めて、そこからどうすると良かったのかを説明し、最後に良い行動をした時に褒めて、説明した内容を脳に届かせる必要があります。
自閉症児やADHDに大きな声で叱っても意味がない
というのはこういう理由からなんですね。
でも、この理由を教えてくれる医師や心理士はあまりなく、ただ単に「叱っても意味がない」という部分だけが保護者や教師に伝わってくるので腑に落ちない感覚に陥り、褒める育児を否定したくなるのではないかと思います。
まとめ:褒める育児は効果あり
特に発達障害児は定型児よりも否定の言葉が脳に届きにくい傾向があります。
褒める→説明する→褒める
とすることで良い行動が増え、その結果悪い行動が減っていきます。
ただ叱るだけよりも効果の高い方法なため、褒める育児は必要と解ります。
一方、暴力や暴言などの危険な行動を放っておいて良いのか?というと、これはすぐに介入する必要があり、こちらは褒めるのではなく、タイムアウトや負の罰など別の方法を取っていきます。
こういった問題行動も無視や褒める方法で対応するという誤った方法を取っている人を見て、褒める育児を否定したくなるのかもしれませんね。
参考文献
ペアレンティングトレーニング 成田奈緒子著
魔法のほめ方PT 横山浩之著
改訂新装版 子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング 育てにくい子ほどよく伸びる [ 成田 奈緒子 ] 価格:1870円 |
マンガでわかる 魔法のほめ方 PT 叱らずに子どもを変える最強メソッド [ 横山 浩之 ] 価格:1650円 |